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Ⅱ-2.免疫抑制剤

免疫抑制剤を併用する場合は、どのような症例か?

本邦では、血管炎症状の著しい症例への併用が推奨されている。ただし、FFS≧1であっても免疫抑制剤投与による再燃率低下の報告などもあり、海外では重症例のみならず、予後不良因子がない症例に対しても免疫抑制剤の併用が推奨されている。

本邦の難治性血管炎の診療マニュアルでは、血管炎症状の著しい症例ではcyclophosphamide;CYC、azathioprine;AZPを併用するとしています。またFFS1996においてFFS≧2以上の予後不良因子を有するEGPAではCYC併用が予後を改善すると報告されています1)。重症例においての免疫抑制剤の併用は一般的な認識になってきましたが、その後FFS≧1の症例(FFS=1の症例を含む)に対しても免疫抑制剤を十分に投与することで再燃率が低下するという報告10)や、FFS=0であってもステロイド単剤による治療ではステロイド減量に伴う再燃率が高いという研究成績が報告11)され、特に海外ではFFS=0の予後不良因子がない症例に対しても免疫抑制剤の併用が推奨されています。

免疫抑制剤併用のタイミングおよび減量・離脱のタイミングをどのように決めるのか?

重症例、ステロイド抵抗例ではステロイド治療開始1ヶ月以内に免疫抑制剤を併用する。副作用がなければPSL5-7.5mgまで継続し、血管炎症状や末梢血好酸球数を確認しながら免疫抑制剤の中止を検討する。

重症例、ステロイド抵抗性のEGPAはステロイド治療開始1ヶ月以内に免疫抑制剤を併用します。急性期の免疫抑制剤は副作用を考慮し、CYCのパルス療法(IVCY)が推奨されています。寛解導入後にAZPまたはmethotrexate;MTXへ変更します。AZP、MTXは同等の効果が期待できると考えられています。また論文報告は少ないですがciclosporin;CSAも使用されます(保険適応外)。CYC治療抵抗性の全身性血管炎(特にGPA)についてはrituximab投与が有効であるという報告12)もありますが、EGPAについては現在のところ保険適応外です。
ステロイドを減量する際に免疫抑制剤を併用している方がステロイド減量後の再燃頻度も少ないため、免疫抑制剤の副作用がなく継続可能である場合にはPSL5-7.5mgまで継続し、その後の血管炎症状、末梢血好酸球数を確認しながら免疫抑制剤の中止を検討します。

1)Gayraud M, et al: Arthritis Rheum 2001; 44(3): 666-675.
10)Cohen P, et al: Arthritis Rheum 2007; 57(4): 686-693.
11)Ribi C, et al: Arthritis Rheum 2008; 58(2): 586-594.
12)Stone JH, et al: N Engl J Med 2010; 363(3): 221-232.
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