チャーグ・ストラウス症候群(CSS)/アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)

チャーグ・ストラウス症候群(CSS)/アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)

疾患の概念

  • チャーグ・ストラウス症候群(Churg-Straus syndrome: CSS)は、気管支喘息またはアレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患に続いて起こる、末梢血好酸球増多を伴う原因不明の全身性の壊死性血管炎であり、アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis: AGA)とも呼ばれる。
  • 5年生存率は62~78%と決して良好ではなく、急性期には血管炎症状が数日単位で急激に悪化することもある。約20%に脳出血・脳梗塞や心筋梗塞・心外膜炎、腸穿孔などの重篤な臓器障害が起こる。気管支喘息も治療抵抗性であることが多い。

疫学

  • 年間新規患者数は約100名。年間の医療機関受給者数は約1800名と推定されている。
  • 好発年齢:30~60歳に好発。
  • 男女比:4:6で女性にやや多い。

臨床症状

  • アレルギー性鼻炎・気管支喘息の前駆症状期、好酸球増多期、全身血管炎期の3相に分けられる。気管支喘息から血管炎発症までは3年以内のことが多い。血管炎症状としては、多発性単神経炎はほぼ必発で、ほかに、中枢神経症状、皮膚症状、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状、腎障害など多彩な所見が認められる。MPO-ANCAは約50%の症例で陽性である。

組織所見

  • 生検組織から血管周囲の好中球浸潤と、著明な好酸球浸潤を伴う小動静脈のフィブリノイド変性を伴う壊死性血管炎、または肉芽腫性血管炎、白血球破壊性血管炎(leucocytoclastic vasculitis)を認める。血管外に肉芽腫形成を認めることもある。

診断

  • CSS/AGA症例の多くは血管炎症状発症時に明らかな病理学的血管炎所見がないことが多いため、早期に診断し早期に治療を開始することが後遺症防止に有用である。
  • 厚生労働省によるCSS/AGAの診断基準を表11に示す。
  • 鑑別疾患としては多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、結節性多発動脈炎(PAN)があげられる。
表11 アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)/チャーグ・ストラウス症候群(CSS)の診断基準
主要所見
  • 気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎
  • 好酸球増加
  • 血管炎による症状[発熱(38℃以上、2週間)、体重減少(6ヵ月以内に6kg以上)、多発性単神経炎、消化管出血、紫斑、多関節痛(炎)、筋肉痛、筋力低下]
臨床経過の特徴 主要所見(1)(2)が先行し、(3)が発症する。
主要組織所見
  • 周囲組織に著明な好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫、またはフィブリノイド壊死性血管炎の存在
  • 血管外肉芽腫の存在
判定基準
  • 確定
    • 主要臨床所見のうち気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎、好酸球増多および血管炎による症状のそれぞれ一つ以上を示し同時に、主要組織所見の1項目を満たす場合(アレルギー性肉芽腫血管炎)
    • 主要臨床所見3項目を満たし、臨床経過の特徴を示す場合(チャーグ・ストラウス症候群)
  • 疑い
    • 主要臨床所見1項目および主要組織所見の1項目を満たす場合(アレルギー性肉芽腫血管炎)
    • 主要臨床所見3項目を満たすが、臨床経過の特徴を示さない場合(チャーグ・ストラウス症候群)
参考となる検査所見
  • 白血球増加(1万/μL)
  • 血小板数増加(40万/μL)
  • 血清IgE増加(600lU/mL以上)
  • MPO‐ANCA陽性
  • リウマトイド因子陽性
  • 胸部X線所見にて肺浸潤影
(これらの検査所見はすべての例に認められるとは限らない)
鑑別診断 肺好酸球増加症候群、他の血管炎症候群(多発血管炎性肉芽腫症GPA/WG、結節性多発動脈炎)との鑑別を要する
参考事項
  • ステロイド未治療例では末梢血好酸球は2,000/μL以上の高値を示すが、ステロイド投与後は速やかに正常化する
  • 気管支喘息はアトピー型とは限らず、重症例が多い。気管支喘息の発症から血管炎の発症までの期間は3年以内が多い
  • 胸部X線所見は結節性陰影、びまん性粒状陰影など、多様である
  • 肺出血、間質性肺炎を示す例もみられる
  • 血尿、蛋白尿、急速進行性腎炎を示す例もみられる
  • 血管炎症候寛解後にも、気管支喘息は持続する例がかなりある
  • 多発性単神経炎は後遺症が持続する例が多い
(厚生省難治性血管炎分科会,1998年修正より改変)
page top