ANCA関連血管炎の診断

ANCA関連血管炎の診断

血管炎症候群の診断のアプローチ

  • 一見脈絡のない多彩な全身症状を呈する発熱患者では、まず血管炎を疑う。
  • 血管炎症候群と鑑別すべき疾患:①感染症、②悪性腫瘍、③膠原病およびその類縁疾患。
  • 罹患血管のサイズの違いによる診断アプローチの仕方(図2)。
    ①大型~中型血管炎:血管造影が有用
    ②小型~毛細血管炎:免疫複合体の有無を確認
    免疫複合体(+)群:
    IgA 免疫複合体(IgA-IC)有り⇒ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)の疑い。
    クリオグロブリン 有り⇒クリオグロブリン血症の疑い。
    リウマトイド因子(RF)有り⇒悪性関節リウマチ(MRA)の疑い。
    免疫複合体(-)群:
    MPO-ANCA 陽性⇒MPA、CSS/AGAの疑い。
    PR3-ANCA陽性⇒GPA/WGの疑い。
  • 確定診断には生検が有用(大動脈とその主要分枝が傷害される高安動脈炎を除く)

臨床症状からみたANCA陽性の鑑別診断

  • ELISAによるMPO-ANCA 陽性とPR3-ANCA陽性の鑑別診断を臨床症状によるチャートで示す(図3)。
  • MPO-ANCA 陽性:
    ①腎限局性ANCA関連血管炎
    • 75~80%がMPO-ANCA 陽性。
    • 腎炎症状のみを呈し、腎以外の血管炎の所見を欠く。
    • 腎生検では壊死性半月体形成性腎炎像を呈し、糸球体に免疫複合体の沈着がほとんどみられない。
    ②顕微鏡的多発血管炎(MPA)
    • 70%がMPO-ANCA 陽性。
    • 中年以降の男女で全身の小型血管炎の症状がみられる。
    • 特に腎症状(急速進行性糸球体腎炎)と肺症状(肺胞出血、間質性肺炎)が顕著。
    • 生検で細動静脈・毛細血管の壊死性血管炎を認める。
    ③チャーグ・ストラウス症候群(CSS)/アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)
    • 約50%がMPO-ANCA 陽性。
    • 気管支喘息を患ってきていて、好酸球の著しい増多を認める。
    • 下肢の紫斑、多発性単神経炎、消化管出血などが出現する。
    • 生検で好酸球浸潤を伴う細小血管の壊死性血管炎および血管外肉芽腫の所見を認める。
    ④薬剤性ANCA関連血管炎
    • 抗甲状腺薬(プロピルチオウラシルおよびチアマゾール)やヒドララジンの長期服用者(大半がMPO-ANCA)。
    • その他の薬剤としてミノサイクリン、ペニシラミン、アロプリノール、プロカインアミド、フェニトイン、イソニアジドなどの報告がある。
  • PR3-ANCA陽性:
    ①多発血管炎性肉芽腫症(GPA/WG)
    • 90%以上でPR3-ANCA陽性。
    • 中高年の男女で全身の小型血管炎の症状がみられるが、特に上気道の症状、肺症状、腎症状が顕著である。
    • 鼻粘膜、肺、腎の生検で小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎および壊死性半月体形成性糸球体腎炎を認める。
    ②その他の疾患:
    • 炎症性腸疾患、全身性リウマチ性疾患、その他の自己免疫疾患、悪性腫瘍など。
図2 血管炎症候群の診断のアプローチ
(「血管炎症候群の診療ガイドラインJCS2008」より改変)
図3 ANCA陽性の鑑別診断
(尾崎承一:「チャート 内科診断学」p547より改変)
page top