診断へのアプローチと多彩な臓器症状

ANCA関連血管炎 診断へのアプローチと多彩な臓器症状

全身症状と臓器障害による症状

ANCA関連血管炎は、全身をめぐる血管壁の炎症による全身症状と、血管の閉塞による血流不全や周辺の炎症病変によって生じる臓器障害症状を呈する原因不明の疾患である。しばしば複数臓器に病変が出現するが、発症早期には臓器障害の症状は目立たない場合があり、また、血管炎以外の原因でも起こり得る血流障害による症状と類似する。そのため、早期診断に難渋することも多く、その症候やスクリーニング検査、コンサルトのタイミングなどを知っておくことは、ANCA関連血管炎の早期診断・早期治療に極めて重要である。
多彩な臓器障害と臨床症状

ANCA関連疾患を疑う

身体所見・検査所見

診断・専門医へのコンサルト

多彩な臓器障害による症状

腎臓をはじめとした多彩な臓器障害をきたし、なかでも皮膚、末梢神経障害、眼、耳鼻咽喉、気管・気管支や肺などの臓器障害は、さまざまな症状を呈する(表1)。
表1 ANCA関連血管炎の臓器障害
臓器 病態
頭蓋内 脳梗塞、脳出血、肥厚性硬膜炎(合併する絞扼性脳神経障害)、脳神経炎、静脈洞炎・血栓症
上強膜炎、強膜炎、角膜炎、眼窩病変(眼窩腫瘤、眼窩突尖端症候群)(GPA)、虚血性視神経炎、網膜血管炎、涙腺炎(GPA)
中耳炎乳突蜂巣炎外耳道炎(GPA)内耳炎(MPA)、顔面神経麻痺(GPA)
鼻・副鼻腔 鼻・副鼻腔炎(骨・軟骨破壊所見ありはGPA)鞍鼻や鼻中隔穿孔(GPA)
口腔内・舌・咽頭 口腔内粘膜潰瘍、苺状歯肉炎(GPA)
気管・気管支 気管支喘息(EGPA)声門下・気管狭窄(GPA)
間質性肺炎(MPA)、好酸球性肺炎・移動性浸潤影(EGPA)結節性・腫瘤性・空洞性病変(GPA)固定浸潤影(GPA)びまん性肺胞出血(MPA、GPA)
心臓(EGPA) 心筋炎、不整脈、冠動肺炎
漿膜 胸膜炎、心膜炎
消化管 潰瘍、出血
肝・胆・膵 肝機能障害、胆嚢炎、膵炎、門脈血栓症
副腎 副腎梗塞・出血
腎臓 糸球体腎炎(MPA、GPA)、尿細管間質性腎炎(GPA、EGPA)
尿管・膀胱・前立腺 尿管狭窄(GPA)、前立腺炎(GPA)
生殖器系 精巣炎(GPA)、卵巣炎(GPA)、卵管炎(GPA)
筋肉・関節 筋内血管炎・関節痛
末梢神経 多発単神経炎単神経炎
皮膚 皮膚血管炎、網状皮斑、皮下結節、皮膚潰瘍、壊疽
血液 好酸球増多症(EGPA)
おもなものを太字で記載、(MPA)、(GPA)、(EGPA)は、
各疾患で当該臓器障害の頻度が比較的高いことを示す。
(ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄)71,2017,診断と治療社より転載)
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